
『信長の野望・武将風雲録』は、戦国時代のダイナミズムを鮮やかに描き出した。
鉄砲や鉄甲船、技術革新を通じて、戦乱の時代が変革の舞台でもあったことをプレイヤーに伝え、日本人の戦国イメージを豊かにした。
本稿では、その魅力を探り起こす。
乃至政彦
歴史家。著書に『戦国大変 決断を迫られた武将たち』『謙信越山』(SYNCHRONOUS BOOKS)、『上杉謙信の夢と野望』(KKベストセラーズ)、『平将門と天慶の乱』『戦国の陣形』(講談社現代新書)など。書籍監修や講演活動なども行なっている。1974年生まれ。高松市出身、相模原市在住。
歴史家。著書に『戦国大変 決断を迫られた武将たち』『謙信越山』(SYNCHRONOUS BOOKS)、『上杉謙信の夢と野望』(KKベストセラーズ)、『平将門と天慶の乱』『戦国の陣形』(講談社現代新書)など。書籍監修や講演活動なども行なっている。1974年生まれ。高松市出身、相模原市在住。
国時代に茶器と和歌? 『武将風雲録』の挑戦
「戦国時代」のイメージを決定づけた要素とは?
『信長の野望・武将風雲録』が発売された1990年当時、戦国時代のイメージは、まだ「剣と槍がぶつかり合うチャンバラの時代」という認識が強かったと記憶している。
大きく間違っているわけではないが、戦国後期には鉄砲が戦場の主役となり、戦国大名は宣教師と交流し、西洋の技術を取り入れ始めるものもいたとされている。『武将風雲録』はこうした「戦国時代の進化」をゲーム内に落とし込み、プレイヤーに「戦国とは変革の時代である」ことを体感させたのである。
本作が導入した戦国らしさを強く打ち出した要素は、それまでのゲームにはなかった新鮮さで、プレイヤーに「戦国時代のリアル」を感じさせる効果があった。
今回は、その再現力がどのようにゲームを変え、そしてその後の日本人の戦国観にどのような影響を与えたのかを見ていこう。
鉄砲——戦国の戦いを劇的に変えた兵器
『武将風雲録』の戦闘システムでは、鉄砲(鉄炮)が特別な存在だった。...