「歴史ノ部屋」でしか読めない、戦国にまつわるウラ話。今回は『信長の野望』 の画期的なアイデアについて。

1986年発売の初代『信長の野望』は、その後のゲーム史を大きく変えてしまう重要な特徴があった。当時定番だった「ウォーゲーム」に、マネジメントの概念を取り入れて、戦争の準備から着手するという前代未聞のゲームが『信長の野望』だった。しかもそこに「兵糧」というだれもが思いつきそうで実際には導入しなかった新しいシステムを取り込んだ。

織田信長像

『信長の野望』シリーズ本編タイトル

 日本のゲーム史における『信長の野望』の重要性を説明するにあたって、まずは1983年の初代作品とその前身作品の相違から『信長の野望』の画期性を説明しておく必要がある。

 初代の前身にあたるのは光栄マイコンシステム(原・コーエーテクモゲームス)の1981年10月26日発売の『川中島の合戦』で、本作は1561年に信濃国川中島で武田信玄と上杉謙信(当時は上杉政虎)が戦った地域戦を再現したウォーゲームである。

 ちなみに2016年に、一般社団法人・日本記念日協会が10月29日を「歴史シミュレーションゲームの日」に認定した。これはコーエーテクモゲームスがその発売日35周年を記念して制定したのを受けてのものである。

歴代シリーズの信長包囲網シナリオ
サブタイトル
(発売順の番号を付す)
発売年
1:(無印) 1983
2:全国版 1986
3:戦国群雄伝 1988
4:武将風雲録 1990
5:覇王伝 1992
6:天翔記 1994
7:将星録 1997
8:烈風伝 1999
9:嵐世記 2001
10:蒼天録 2002
11:天下創世 2003
12:革新 2005
13:天道 2009
14:創造 2013
15:大志 2017
16:新生 2022

1983年発売の『川中島の合戦』

 近現代戦ではなく、中世の戦争を舞台とする作品はボードゲームには先例があったが、コンピュータゲームでは初期の試みでゲームプレイヤーたちに衝撃を与えた。...